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バセドウ病について

2023年10月24日:甲状腺

<バセドウ病とはどのような病気?>

 バセドウ病は、本来自分の体を守るはずの免疫(自己免疫)が自分自身の甲状腺を刺激して、甲状腺ホルモンを作り続ける病気です。別名、グレーブス病とも言います。抗TSH受容体抗体(TRAb)や甲状腺刺激抗体(TSAb)という自己抗体により甲状腺機能が亢進し、全身に様々な甲状腺ホルモン過剰による症状(甲状腺中毒症)を引き起こす、甲状腺機能亢進症の代表的な病気です。

<症状>

 代謝をつかさどる甲状腺ホルモンや、交感神経系のカテコールアミンが過剰になるため、典型的には、甲状腺腫大、頻脈、眼球突出が代表的な症状です。その他、体重減少、指の震え、暑がり、汗かき、疲れやすい、軟便・下痢、筋力低下、イライラや落ち着きのなさが生じることもあります。女性では生理が止まることがあります。甲状腺は全体的に大きく腫れてきます。眼球突出に代表される眼の症状は「バセドウ眼症」とも呼ばれ、バセドウ病に特徴的な症状です。眼症は眼科受診を勧めております。

<原因は?>

自己抗体ができる原因ははっきり分かっておりませんが、遺伝的に自己免疫を起こしやすい体質をもっており、その遺伝的要因に加えて、出産や大きなストレス、感染症などの環境的要因が加わって発病してくると考えられています。

<治療は?>

第一選択は薬物療法になります。薬の重大な副作用が起こったり、2年程度薬物療法を行っても安定しない場合は、アイソトープ(放射性同位元素)療法や手術療法を検討します。

薬物療法の第一選択薬はメルカゾール(チアマゾール)です。副作用で使えない場合や妊娠初期(催奇形性が報告されています)はプロパジール(プロピルチオウラシル)を使用します。どちらも服用開始から2~3か月で副作用が出やすいため、その間は2週間毎の採血フォローが必要です。その後も甲状腺ホルモンが安定していれば、1か月毎程度の通院で薬を減らしていきます。薬が少なくなり、甲状腺ホルモンや自己抗体が正常化して3~6か月経過すれば、休薬(内服をやめる)を検討できます。ただし、休薬後も再燃する可能性があるため、定期検査が必要です。

<日常生活、食事などの注意>

一番大事なのは抗甲状腺薬を忘れずに内服することです。改善傾向でも3~4日飲み忘れると急に悪化することがあります。喫煙は、甲状腺ホルモンや眼症を悪化させるため、禁煙を勧めます。運動は、甲状腺ホルモンが高い間は疲れやすく心臓に負担がかかるため、激しい運動は控えて下さい。甲状腺機能が落ち着いてきたら体調に応じて軽い運動から始め、無理はしないで下さい。ヨウ素(ヨード)の摂取は、あまり神経質になる必要はありません。

<妊娠予定の女性の方へ>

甲状腺ホルモンが高い状態での妊娠は母体のリスクになり、胎児にも甲状腺機能亢進症を引き起こす可能性があります。甲状腺ホルモンや 自己抗体が安定していれば妊娠・出産は可能であり、一般的には妊娠中は甲状腺機能亢進症が落ち着く場合が多いです。ただし、メルカゾール使用の場合は妊娠初期に使用しない方が無難であり、プロパジールへの変更などが必要なため、妊娠を計画した時点や妊娠が分かった時点で早めに当院にご相談ください。



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