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秋到来?芋・栗・南瓜を比べよう
2024年9月11日:管理栄養士
こんにちは、管理栄養士の前田です。
9月も半ばですが、まだまだ残暑が厳しい日が続いていますね。
暑い夏が終わり秋の気配を感じる頃になると秋の味覚と呼ばれる食材が旬を迎えます。
秋の味覚といえば「芋・栗・南瓜(なんきん)」という言葉が真っ先に頭に浮かんでくるのですが、皆さんはいかがでしょうか。
本日は好きな方も多い「さつま芋・栗・かぼちゃ」についてお話しようと思います。
まず最初に、糖尿病の食事療法のための食品交換表では芋類・栗・かぼちゃは炭水化物を多く含むため、ご飯・パン・めんなどの主食の仲間に入ります。そのため、さつま芋ご飯や、栗ご飯、かぼちゃの煮物、芋類やかぼちゃを使用したおかずを食事で多く食べる時には主食量を調整する必要があります。間食で食べる際は、食べる頻度や量に気を付けましょう。
では一体どれくらいのカロリーや糖質が含まれているのか、比較しながら見ていきましょう!
100g当たり | さつま芋 | 栗 | かぼちゃ |
エネルギー(kcal) | 134kcal | 164kcal | 91kcal |
糖質量(g) | 29.7g | 30.0g | 17.1g |
食物繊維(g) | 3.8g | 4.2g | 3.5g |
▲出典:文部科学省『日本食品標準成分表2020年版(八訂)準拠 食品成分表2022』
表で比較すると、3つの中で一番糖質の低い食品はかぼちゃになります。
100g当たり91kcalで糖質量は17.1gでした。それでいて食物繊維量はさつま芋と変わらないくらい豊富に含まれていますね。また、かぼちゃは抗酸化作用のあるカロテンを豊富に含む緑黄色野菜です。カロテン類だけでなく、ビタミンAやビタミンEも多く、栄養価が高い食材です。
ただ、かぼちゃを食べるときに気を付けたいのが調味料の量になります。かぼちゃは砂糖で甘く煮たり、マヨネーズと和えてサラダにするなど、加える調味料でエネルギーや糖質量が増えやすい食品です。シンプルに焼いて食べるのがおすすめですが、味付けをする際は薄味にして、素材の味を活かすことでヘルシーに豊富な栄養素を摂取できます。
さつま芋は100g当たり134kcal、糖質量29.7gとやはり糖質が多めです。お芋ご飯や大学芋はダブルで糖質を取ることになるので要注意です。さつま芋は便秘改善に効果のある不溶性食物繊維やむくみ解消によいカリウムが豊富に含まれています。
栗は、和栗の場合、100gあたり164kcalで糖質量は30.3gでした。カロリーも糖質量もこの中では一番高いですね。食べる個数にもよりますが、むき栗が1粒約20gくらいなので、5粒ほどで上記のようなカロリーと糖質をとることになります。栗は食物繊維やカリウムのほか、代謝を助けるビタミンB1やビタミンB2が豊富です。中国栗を使った甘栗は、100gあたり222kcal、糖質は40gと高めなので食べる量に注意が必要です。
このように比較してみていきましたが、やはりさつま芋・栗・かぼちゃは糖質が高めの食材です。
ですが、適量を食べるなら食物繊維やそのほかの栄養素が摂取できて、市販のスイーツを間食に食べるよりも体に良いです♪
食べ方を工夫して、素材を活かしたおいしい秋の味覚を味わってみて下さいね(^^)/
トマトは夏が苦手!?
2024年8月5日:管理栄養士
こんにちは、管理栄養士の前田です(^^)
毎日暑い日が続いていますね。
暑い夏にはさっぱりしたものが食べたくなります。
今日は夏のさっぱり献立に是非取り入れて欲しい、トマトのお話です(^^)/
いきなりですが、皆さんはトマトが夏の旬野菜ではないのをご存じでしょうか?
一般的に夏野菜に含まれることが多く、暑い夏が一番おいしくなると思われがちですが、実は高温多湿な環境が苦手で、強い日差しと冷涼な気候の下でよく育つそうです。
そのため夏はトマトにとって厳しい環境で、春から初夏、秋から初冬が最も美味しいと言われています。トマトは夏が苦手だったなんて、意外ですよね~。
トマトはその大きさによって、大玉トマト(一般的にトマトと呼ばれるもの)、ミディトマト、ミニトマトの3種類に分類されています。トマトの食物繊維は皮に多く含まれるので、同じ100gを摂取したとしても大玉トマトと比較して皮の部分が多いミニトマトは食物繊維量も多くなります。
100g当たりの食物繊維量は大玉トマトで1.0g、ミニトマトで1.4gです。
ミニトマトは洗ってすぐ手軽に食べられるので、野菜不足解消にストックしておくのもおすすめですよ。保存の際はミニトマトのヘタを取ってから水分をふき取り、冷蔵保存すると長持ちします。
様々な栄養成分がバランスよく含まれているトマト。一般的な野菜に多く含まれるビタミンAやビタミンCが豊富なのはもちろんのこと、ビタミンEやカリウム、食物繊維などトマトの栄養成分は実にバランスがよいです。その中でも特に注目されているのがカロテノイドの仲間のリコピンです。トマトの赤い色はこのリコピンの赤なのです。
私たちは酸素がなければ生きていけませんが、酸素には細胞を酸化させ、老化や動脈硬化、がんなどの生活習慣病を引き起こす作用があることがわかっています。
強力な抗酸化作用を持つリコピンは、生活習慣病予防や老化抑制に効果があると期待されています。
ただ、リコピンをはじめとするカロテノイドの吸収性が生野菜からは非常に低く、同じ量を摂取したとしても、生のトマトより加工品の方が2~3倍もリコピンを吸収しやすいことが明らかにされています。また、油を使った料理でも比較的吸収性は高まります。リコピンを効率的に摂取したい場合はトマト缶などの加工品を利用するのが賢い方法と言えそうです。
とはいえトマトはそのまま食べても、煮ても、焼いても、炒めてもおいしい栄養豊富な万能野菜です。暑い夏を乗り切るためにいろいろな食べ方でたくさん活用して下さいね♪
豆乳と牛乳、体にいいのはどっち?
2024年7月5日:管理栄養士
こんにちは、管理栄養士の前田です。
皆さんは豆乳と牛乳のどちらを飲むことが多いですか?
私はどちらも好きでよく飲むのですが、豆乳も牛乳もそれぞれにいいところがあり、どちらが良いとは決められません。
今日はその2つを比較して、詳しくみていきたいと思うので、是非暑い夏の水分補給に役立てて下さいね(^^)/
まず両者の一番の違いは、大豆から絞った植物性食品か牛の体内で作られる動物性食品かという事で、共通点はたんぱく質を多く含む食品という事になります。
では具体的にどのような栄養素の違いがあるのか見ていきましょう!
(今回は大豆から絞ったまま加工されていない無調整豆乳と普通牛乳で比較しています。)
100g当たり | 豆乳(成分無調整) | 普 通 牛 乳 |
エネルギー(kcal) | 44 | 61 |
たんぱく質(g) | 3.6 | 3.3 |
糖質(g) | 2.9 | 4.7 |
食物繊維(g) | 0.2 | 0 |
脂質(g) | 2.0 | 3.8 |
飽和脂肪酸(g) | 0.32 | 2.33 |
カルシウム(mg) | 15 | 110 |
鉄(㎎) | 1.2 | 0 |
▲出典:文部科学省『日本食品標準成分表2020年版(八訂)準拠 食品成分表2022』
たんぱく質は豆乳も牛乳もほぼ同程度含んでいますが、豆乳の方が低糖質・低脂質のため、エネルギーが低くなっています。さらに豆乳は植物性食品なのでコレステロールを含まず、それでいてたんぱく質を摂取できるメリットがありますね。たんぱく質に着目すると、牛乳や乳製品には筋肉維持・増加のための重要なカギとなるBCAA(3つの必須アミノ酸の総称)が多く含まれています。
特に高齢者の方は筋肉量の維持や骨粗しょう症予防のために、牛乳やヨーグルトなどの乳製品を1日合わせて200g摂ることをおすすめしています。
そのほかビタミン、ミネラルで注目すべき違いがあるのはカルシウムと鉄です。これら2つは、特に日本人が不足しがちな栄養素なので日々の食生活の中で意識して摂る必要があります。カルシウムはやはり牛乳が圧勝で、豆乳の約7倍も多く含んでいます。逆に鉄に着目すると、豆乳には含まれても牛乳には含まれていないため、豆乳の方が優っていると言えるでしょう。
1日の摂取量の目安は豆乳なら200ml、牛乳なら他の乳製品(ヨーグルトやチーズなど)と合わせて200gとなっています。
摂りすぎても食事のバランスが崩れてしまうので、適量を守りそれぞれのメリットを活かして摂取していきましょう(^^)/
牛乳や豆乳の効率的な飲み方、飲むタイミングなど、個別の栄養相談で詳しくお話しています。
血糖値が高めの方、コレステロール値や中性脂肪値が高い方など、お気軽にご相談くださいね(^^)
果物は食べていますか?
2024年6月5日:管理栄養士
こんにちは、管理栄養士の前田です(^^)
皆さん、果物は好きですか?
今の時期ですと、さくらんぼ、ゴールドキウイ、スイカ、メロンなどが旬となっていますね。
暑くなってくると「すいかやぶどうは水分補給にたくさん食べてしまう」という方も多いので、今日は果物の目安量を改めて一緒に確認してみましょう(^^)/
果物の摂取量は1日当たり100g~200g(皮つき)までです。
・みかん2個(200g) 糖質22g、98kcal
・りんご1/2個(150g) 糖質17.6、66kcal
・バナナ1本(100g) 糖質21.4g、93kcal
・キウイ(緑肉種)1個半(150g)糖質16.2g、76kcal
・いちご1パック(250g) 糖質18.4g、80kcal
・ぶどう(デラウェア)小房1個(100g)糖質15.2g、58kcal
・すいか2切れ(200g)糖質27.6g、123kcal
・梨(小玉)1個(250g) 糖質26g、96kcal
・柿1個(150g)糖質28.6g、126kcal
・メロン中1/2個(200g)糖質19.6g、100kcal
・さくらんぼ20個(150g) 糖質14g、64kcal
こうして見ると、バナナ、ぶどう、すいか、柿などは糖質量が高いのが分かります。
果物の糖質は主に果糖、ブドウ糖、ショ糖の3種類の糖質で構成されており、果糖は食後の血糖値をほとんど上昇させないことが分かっています。ただ、果糖は肝臓での脂肪合成を促進させて中性脂肪を増やすので食べすぎには注意が必要です。
糖組成の中で果糖の占める割合が大きく、かつ食物繊維が多く含まれるものは「比較的血糖値を上げにくい果物」と言うことができます。
そこで、私が特におすすめしたい果物は、いちご、キウイ(特に緑色、黄色も可)、りんご、ブルーベリーになります。これらは果物に含まれる糖質自体が低く、食物繊維量は多いため、比較的血糖は上昇しにくいです。
よく患者さんから、「ゴールドキウイの方が好きなのだけど、緑色じゃなくてもいいかしら?」
という質問を受けます。私も断然ゴールドキウイ派です!
2つのキウイを比べてみると、ゴールドキウイはカロリー、糖質量ともに若干高く、食物繊維量は少なくなるので、緑色の方が優秀です。
ですが、他の果物と比べると食物繊維は多い方ですし、低カロリーなのには変わらないので、食べる価値は十分にあると思います。ゴールドキウイもグリーンキウイと同じく1日1個半位が適量といえます。
1日に複数の果物を食べるときは、合計量が200g(皮つき)以内になるように食べましょう。
例えばバナナとりんごを1日に食べるのであれば、朝食にバナナを1/2本程度食べ、昼食や間食にりんご1/4個位を食べるのは適量です。
まとめて食べるのではなく、分散して食べることも血糖値を急激に上げないための工夫です。
1日の目安量を守って上手に食生活に取り入れ、おいしい旬の果物を楽しんでくださいね♪
意外と知らない?「納豆」のお話
2024年5月13日:管理栄養士
こんにちは、管理栄養士の前田です(^^)
皆さん、納豆は好きですか?
私は最近、「山わさび納豆」にハマってよく食べています。
本日は納豆についてお話します。
日本食の特徴のひとつに「大豆製品をよく食べること」があげられます。
納豆、豆腐、枝豆、大豆の煮豆、厚揚げ、がんもどき、おから、豆乳、味噌など、大豆製品は日本食に欠かせません。
その中でも特に納豆は、糖尿病や高血圧、脂質異常症の食事療法に取り入れたい食品の一つです。
納豆は、煮大豆を納豆菌が発酵させることでできる食品で、この発酵過程で「ナットウキナーゼ」をはじめとするさまざまな栄養素が生まれます。
「ナットウキナーゼ」という言葉、どこかで聞いたことがあると思います。
ナットウキナーゼとは納豆のネバネバ部分に含まれるタンパク質分解酵素で、血管につくられる血栓を溶かしやすくする働きがあり、脳梗塞や心筋梗塞などの血栓症を予防する効果があるのです。
ところで、「あつあつのごはんに納豆をかけて食べるのが好き」という方はいませんか?
実はそれはとてももったいない納豆の食べ方なのです!
なぜなら、ナットウキナーゼは熱に弱いという性質があり、50℃以上になると活性が急速に低下してしまうのです。そのためナットウキナーゼを摂取する際は、加熱せずに食べることがすすめられています。炊き立てご飯は65℃~80℃近くあるので、すぐに納豆をのせてしまうとナットウキナーゼの効果が十分に得られない可能性があります。ご飯と一緒に食べる場合は、あつあつではなく少し温かいくらいの温度になるのを待ってから食べるといいですね。
また、納豆には良質な植物性タンパク質が含まれています。
ヒトが体内で合成できない9種類のアミノ酸を必須アミノ酸と呼んでいて、良質のたんぱく質とはこの9種類の必須アミノ酸がバランス良く含まれるたんぱく質のことを言います。
このアミノ酸のバランスを数値化したものを「アミノ酸スコア」といい、100点満点でカウントされます。9つの必須アミノ酸のどれかひとつでも不足していると、スコアは0となります。これはたとえ一つでもアミノ酸が足りなければ、そのたんぱく質は有効に活用できないためです。納豆は肉や魚と同じくアミノ酸スコアが100近くあり、体内で活用されやすい良質なたんぱく質と言えます。
改めて納豆のすごさを感じますね(^^)/
納豆は毎日1パックを目安にして、これからも食べていきましょう♪
栄養相談枠の拡大について
2024年4月30日:管理栄養士
2024年5月1日より、管理栄養士による栄養相談の枠を拡大させていただきます。
相談可能日時につきましては、水曜午前の枠を追加し、現在の枠と合わせて
月曜・水曜・金曜の午前診療時間内
とさせていただきます。
※まだホームページTOP下部の栄養相談の表は「✕」となっておりますが近日更新予定です。
(糖尿病、高血圧症、脂質異常症などの方は保険適応で診察と同日に受けることが出来ます。
保険適応の場合、具体的には3割負担で初回780円、2回目以降600円で受けられます。)
基本予約制となっておりますので、ご予約やご質問等ございましたらお気軽に当院までお問い合わせください。
また、栄養相談の内容については過去ブログにも記載がございますので、よろしければこちらも一読いただければと思います。
↓↓↓
http://kashiwa-dmt-clinic.com/_cms/2023/04/17/
「指定野菜」って何?
2024年4月12日:管理栄養士
こんにちは、管理栄養士の前田です。
皆さんは「指定野菜」という言葉をご存じですか?
指定野菜とは消費量が多い野菜で、国民の生活上の重要性が高い品目として国が位置づけた野菜のことなのですが、2026年度からブロッコリーが加えられることが決まりました。
新たに指定野菜が追加されるのはおよそ50年ぶりという事なので、結構な大ニュースなのです。
これまでに14品目が指定野菜となっていました。
キャベツ、きゅうり、さといも、だいこん、トマト、なす、にんじん、ねぎ、白菜、ピーマン、レタス、たまねぎ、ジャガイモ、ほうれん草
指定野菜になると大規模な生産者に支払われる補助金が手厚くなり、価格変動が抑えられて一年を通して安定供給につながると期待されています。
では、なぜ今ブロッコリーが追加されることになったのでしょうか?
それは、ブロッコリーの消費量が野菜全般の中で際立って増えていることにあります。
多くの野菜は人口減少などを背景に出荷量が減少する中、ブロッコリーはこの30年間で約2倍になっているそうです。ブロッコリーの需要が高まっている理由としては、近年の健康志向の高まりが影響しているようです。
ブロッコリーは食物繊維やビタミン、ミネラルなど栄養豊富であり、茹でるだけで食べられるので手軽に栄養を摂れます。調理方法も幅広く、炒めたりスープに入れたりと、さまざまな料理に利用できるのも魅力です。
また、ブロッコリーは野菜としては珍しく、タンパク質が豊富に含まれています。タンパク質が比較的多く含まれる野菜は他にも豆もやし、カリフラワー、にんにくなどがありますが、やはりブロッコリーが一番身近な存在なのではないでしょうか。
そんないいこといっぱいのブロッコリー♪
食べるときに断然おすすめの調理法は「電子レンジ」か「蒸し」です。
多くの野菜は切って洗ったり、茹でたりすることで水に栄養素が流れ出てしまいます。ブロッコリーを生のまま食べる人はほとんどいないと思うので、どうしても加熱が必要になってきます。
その際に栄養素が変わらない、むしろ増える調理法が上記の2つになります。
電子レンジ調理は栄養素が変わってしまうのではないかと心配になる方もいらっしゃいますが、そんなことは決してありません。
ブロッコリーの場合、生の状態と比較して電子レンジ調理によって失われる栄養素はほぼなく、若干ですがタンパク質量や各種ビタミン類がむしろ増加します。洗い物も少なく手軽に調理できるので、是非電子レンジでチンしてブロッコリーを食べてみてください。丸ごとの栄養素が摂れますよ(^^)/
栄養相談ではその方のライフスタイルや好みに合わせて、どんな食事をどんな量でしたらよいのか詳しくお話させていただきます。是非お気軽にご相談下さいね(^^)
じゃがいもは食べない方がいい?
2024年3月4日:管理栄養士
こんにちは、管理栄養士の前田です。
最近スーパーなどで春キャベツや新たまねぎ、菜花など春の野菜が店頭に並んでいるのを目にするようになり、本格的な春の到来を感じています(^^)/
これから出てくる新じゃがいもは、ほくほくねっとり皮ごと食べられておいしいですよね♪
そこで今日は「じゃがいも」についてお話しようと思います。
糖尿病の食事療法においてじゃがいもは炭水化物が多い食品としてよく挙げられ、『糖尿病食事療法のための食品交換表』ではじゃがいもはごはんの仲間として分類されています。
ちなみにじゃがいもだけではなく、里芋や長芋、さつま芋、栗、かぼちゃなどもごはんの仲間として分類されているので、芋・栗・かぼちゃはそれだけ炭水化物が多いという事になります。
そのため、なるべく食べない方がいいと思っている方も中にはいるのではないでしょうか?
そんな避けられがちな「じゃがいも」について去年、米国のアルバート アインシュタイン医科大学が興味深い発表をしました。
それは、じゃがいもは栄養価が高い食材なので、食べすぎには注意が必要となるものの、適量を積極的に食べた方が良いというものでした。
研究によるとじゃがいもに含まれる糖質はデンプンが多く、食物繊維も多いため白米に比べると血糖値を上昇させにくいとされています。
デンプンは、ブドウ糖が多数つながった構造をしており、消化に時間がかかるため、比較的ゆっくりと血糖を上げていきます。
蒸したじゃがいも100gのカロリーは76kcalで、炭水化物は18g、食物繊維は3.5g含まれます。そのほかにも、ビタミンC、ビタミンB、カリウム、マグネシウムなどの大切な栄養素も含まれ、可食部だけではなく、皮にも栄養が多く含まれています。
ここで注目したいのが、100gあたりに3.5g含まれる高い食物繊維量です。
じゃがいも1個分が約150gなので、もし1個分を皮むきで食べたとすると5gほどの食物繊維が摂取できることになります。
糖尿病患者における1日の食物繊維の摂取目安量が20g以上となっているので、(糖尿病診療ガイドライン2019より)なんとじゃがいも1個を食べただけで1日の1/4の食物繊維が摂取できることになります!
豊富な栄養と調理のしやすさ、1年を通して手に入り、価格も比較的安定していることから「全く食べない」ではなく、うまく食事に取り入れるとバランスが良くなるということです。
しかし、じゃがいもはごはんの仲間でたくさん食べればカロリーオーバーになり、血糖値も上がってしまうのは事実です。また、油で揚げたフライドポテトやポテトチップス、マヨネーズを多く使ったポテトサラダは高カロリーで脂肪も多く含まれるので避けた方がいいでしょう。
ポテトサラダを作るならマヨネーズの半分量をヨーグルトに変えたり、カロリーハーフの物を使ったり、キュウリ、玉ねぎ、にんじんなどの野菜を多く入れて具沢山にして作ります。
また、皮に多くの栄養素が含まれるので、皮ごと調理するのもおすすめです。
皮ごと食べることで摂取できる食物繊維量も増えますね。
食べるときのポイントとして、じゃがいも1個分はごはん50gとだいたい同じエネルギー量なので、おかずにじゃがいもを多く食べた時は主食の量を減らして調整しましょう。
このようにバランスよく食事に取り入れて、これからおいしい新じゃがいもを是非皮ごと味わってみてはいかがでしょうか?
栄養相談ではその方のライフスタイルや好みに合わせて、どんな食事をどんな量でしたらよいのか詳しくお話させていただきます。是非お気軽にご相談下さいね(*^-^*)
卵は1日に何個まで?
2024年2月9日:管理栄養士
こんにちは。管理栄養士の前田です。
本日は「卵」についてお話しようと思います。
栄養相談をしていると、患者さんから「卵は1日何個までにした方がいいの?」
という質問をよく受けます。
皆さんもご存じの通り、卵は栄養に優れた食品で質の良いタンパク質だけでなく、ビタミンやミネラルも豊富に含んでいます。それでいて美味しく、手軽に食べられる食品です。
そんな卵を食べる際に気になるのがやっぱり「コレステロール」ではないでしょうか。
「本当は卵を食べたいけど、コレステロール値が高くて今は我慢しているんだ」という方は結構いらっしゃいます。
日本人の食事摂取基準(2020年版)では、脂質異常症の重症化予防を目的として、コレステロールを200mg/日未満に留めることが望ましいとされています。
食事からのコレステロールは、血中コレステロール値に直接の影響を与えないとは言いますが、血中コレステロール値が高い人は、コレステロールの過剰な摂取は好ましくありません。
では卵のコレステロール量はどのくらいなのでしょうか?
実は卵1個(約50g)に含まれるコレステロール量は210㎎となり、なんと1個食べただけで1日の摂取目標量を超えてしまうのです!
他にもコレステロールの高い食品をいくつかあげてみます。
鶏レバー串2本分 370㎎
あん肝50g 280mg
うなぎの蒲焼1尾(120g)276㎎
さきいか50g 185㎎
明太子1腹(60g)168㎎
ししゃも3尾(45g)135㎎
シュークリーム1個(100g)250㎎
カスタードプリン1個(125㎎)190㎎
このようにほかのコレステロールが多い食品と比べてみても卵1個分のコレステロール量は相当多い という事になります。
しかし、だからと言って全く食べないというのはあまりおすすめできません。
上述の通り卵が栄養に優れた食品であるのは確かです。
そこで私が考える卵の摂取目安量はこちらです。
《コレステロール値が高く薬などを処方されている方や健康診断で高めと言われた方》
→2日に1個くらいであれば理想的。卵好きなら1日1個まで!
《コレステロール値に特に問題のない方》
→1日1個~2個!今は特に問題ない方でも卵は多くても1日2個までにとどめておくのがいいでしょう。
私自身も卵が大好きなので、量に注意しながら食べていきたいと思います。
当院ではコレステロール値が高めの方の栄養相談も随時行っていますので、お気軽にご相談下さい(^^)/
適度な飲酒とは?
2024年1月12日:管理栄養士
こんにちは。管理栄養士の前田です。
皆さん、お正月はいかがお過ごしでしたか?
本日は「お酒」についてお話しようと思います。
お正月に飲む機会の増えた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
お酒は種類ではなく飲む量が重要になるので、この機会に適切な飲酒量を確認してみましょう(^^)/
適切な飲酒量(飲酒量は1日に純アルコールにして20g以下となります)
・ビール中瓶1本 500ml
・焼酎 110ml アルコール度数(25度)
・日本酒1合 180ml
・缶チューハイ 520ml(1.5缶)アルコール度数(5度)
・ウイスキーダブル1杯 60ml
・ワイン2杯 180ml
ちなみに醸造酒(ビール、日本酒、ワインなど)は糖質が多く含まれていますが、
この中でも赤ワインは比較的糖質量が少ないお酒です。
ワインの糖質量は赤< 白 < ロゼの順に高くなります。
また、蒸留酒(ウイスキー、焼酎等)は糖質がほとんど含まれないので血糖値を上げません。
しかしエネルギーはしっかりとあるので飲みすぎは中性脂肪を上昇させ、血糖コントロールにも影響が出てきてしまいます。
お酒を飲む際は例えば1杯目をビールにして、2杯目をハイボールに変える、
いつものビールをやめて糖質0のビールを飲む日を作るなど、ノンアルコールを上手に活用してみるのも一つの手です。
アルコールは体内で優先的に代謝されるので、おつまみから得たエネルギーは脂肪として蓄積されやすくなります。
おつまみは低脂肪、高たんぱくな物を選んで食べましょう。
冬の時期は野菜たっぷりの鍋やおでんなどもおすすめです♪
いま一度適切な飲酒量を知り、お酒と上手に付き合っていきましょう!